研究

研究内容

卒業修士博士論文

研究成果

研究内容
 数理物理学、化学、数理生態学などの分野に現れる複雑な現象を解析するために、 問題の本質的部分を抽出して、単純な数理モデルに還元すると、非線形微分方程式 のシステムとなることが多い。この方程式式系について、微分積分学の基本的道具 だけではなく、関数解析や幾何的な道具も用いて、モデルに内在している解情報の 抽出や非線形現象に至るメカニズムの解明に努めている。
 最近、とくに興味を持っているのは以下の問題である。

(@)反応拡散方程式系の研究
 数理生態学や化学反応における現象のなかには生物の棲み分けや縞模様のような パターンがあらわれることがある。ここにいたるダイナミクスは生物の個体数密度 や物質の濃度を未知関数とする反応拡散方程式のシステムによりモデル化される。 拡散項がない場合、反応項のみでも非線形現象を生み出すが、拡散項と反応項の相 互作用によってより複雑で興味深い結果が予想される。コンピュータによるシミュ レーションからも数々の例が生まれている。このように反応拡散方程式は非線形現 象の宝庫である。
 反応拡散方程式の理論的解析においては、解の時間的変化や時間無限大での漸近 挙動を知ることが重要な課題となる。また、定常問題自身の解析において、定常解 集合の構造、各々の定常解のプロフィールや安定性、大域的な分岐構造に関わる情 報を得ることも大切である。理論的な結果を積み重ねて、非線形メカニズムの解明 を目指したい。

(A)非線形拡散の研究
 多孔質媒質中の流体や生物などの拡散現象を数理モデル化するうえでは、線形拡 散よりも非線形拡散を考えたほうがふさわしいことが多い。数理生態学においては、 自種あるいは他種の個体数密度に依存するような拡散を考慮に入れた Shigesada モデルや自己が生み出した化学物質が走化性として拡散に影響するよう な Keller-Segal モデルでは非線形拡散項が重要な役割を担っている。しかし、 非線形拡散がどのような現象をもたらすかについてはまだ十分な研究がなされて いない。数値実験によるシミュレーションも用いて上記のモデルの解明を進めたい。

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